2008-05-02

緑の障壁




そこを抜けると稽古場だった
聖地への地図を描くものと
風に吹かれ軽やかなステップを踏むもの
いっしょになろうとした
ただただ緑 緑の障壁
そこを抜けるぽっかりと穴
穴のむこうは果てない青空
空は覆われてはいなかった



ここにいると 想うことができる
見えずとも 感じることができる
語らずとも 信じることができる
触れずとも 愛することができる


満ち満ちているときは盲目で
あまりにも暗いので
すべてが光に見える


光を見ていた
けっして目をそらさず
見つめつづけていた
それが反射だと気づかずに


たとえば映ったものを見ているのか
見ているものを映すのか
映したものを描いてみる
闇を走る 稲妻


夜空を走る光のドローイングを見ていると
このようにして世界は創られたのかとひとりごちて
からだが震える


境界を越えるとき
それはいつも喜びと危険を伴うので
震えつづけ 溢れつづける


溢れるものに侵され耐えるとき
あらたな視界がひらかれる


目の前に見えているものが真実だと
どうしてわかるのか
わかったためしがないので
侵されつづけ 耐えつづける



「空気からも水からも

大地からののように何千もの芽が伸びてくる

乾いたところでも 濡れたところでも

熱い場所だろうと 寒い場所だろうと」

               - ファウストより -