2006-07-07

7月の翼、あるいは虹



小さな翼をもっていた
誰も見ていないときは
そっと広げて風をとおし
いつの日か飛翔することを夢見ていた

風をとおすことも忘れたある日
フラ・アンジェリコの絵を見たとき
この人は翼に風を送り続けているのだと思った

「虹がでたよ」誰かが叫ぶと表へ駆け出す
幼い頃はしょっちゅう虹を見ていた
雨上がりに辺りの空気がサッと変わると
ホラッ あそこに!

一瞬の幻だからこそそれは美しい
歓びが胸を駆け上る
誰かが飛翔したのだ

やっと歩き始めた幼子のように
足をもつれさせながらも立ち上がろうとする
この大地から離れることはないだろう

それでも風をとおしつづけよう
いつの日か飛翔するその日のために・・・