2006-06-10

6月の夢、あるいは真珠



金剛石になりたかった
どこまでも透明でけして壊れることなく
輝き続ける金剛石に

しかし私は真珠だった
その輝きがどこからなのかも定かではなく
けしてなかを窺い知ることのできない真珠

嘆くことなかれ
外から発見され磨かれなければ光ることないダイヤに比べ
真珠はすでにその殻のなかで完成されている
自らの分泌物で自らを紡ぎ
殻を開いたときにはホラもう完成されている

形がいびつだと・・・?
嘆くことなかれ
完全な球形など観念のなかでしか存在しないのだから
そして乳白色のその珠は呑まれるためにこそある

金剛石は眺めるもの
真珠は呑みこむもの
それはあなたに呑みこまれ
自ら紡いだものを
自ら解くことによって
世界のなかに溶解する