2008-01-10

白から赤へ







年越しは雪だった


正月早々何の因果か
比叡山頂よりきらら坂を駆け下る
石山如意輪観音を拝んだ後の不如意さに
腹の底から可笑しさがこみあげる
空海も最澄も速駆けした道と
自らを慰めつつ哀れに傷んだ靴を見る

寝床に入る頃には苦も過ぎれば懐かしく・・・


夢を見る

白一面のなかにポツポツと赤が・・・
近づけば・・・紅梅?・・・かしら・・・
白と赤が交錯しやがて赤一面に・・・



夜が明けた






2007-12-13

師走狂躁曲









イヤなんです,あなたがいってしまうのは・・・

といった女は狂死した



イヤなことをイヤだといいつつ

狂いもせずに生きるのは


むつかしい





師走

「仮往生伝試文」を読む


一日一章一時が往く

まだまだ往生際の悪い自分にあきれつつ

人並みに年を越す用意などもしながら

こころのうちは静かになっていく




雪がちかい・・・かも・・・・・・








2007-11-02

愛しのP.P.P.








P.P.P.の遺作「SALO」を見たとき思った
これは西欧世界のことだと
いまや全世界のこと
世界は分かれてなどいないのだから

その眼があまりにも美しかったので
ドロボーにまちがえられたというP.P.P.

その眼が見ていたものは・・・
表現者が予言者であったのは昔のこと
いまは・・・

彼はママを愛してた
とてもとても愛してた
たとえどんな愛であろうと
変わらずに愛することができれば
幸せではないだろうか
愛されるのではなく
愛することができれば・・・
















2007-10-01

Jasmine-茉莉花





ジャスミンのお茶を入れていると

突然思い出して

「ジャスミンの魔女」を読む


そういえば


ずっと以前読みたいと思っていた本に

「ジャスミンおとこ」がある


ウニカ・チェルンはなぜ死んだのだろう


自ら死を選んだ人たちの記憶の襞に

ジャスミンの花を捧げよう


その甘い香りは


インドでは髪に飾る

祭りの日女たちの髪で揺れる

白い小さな花


茉莉花



2007-09-20

response-hana





朝露に胸ひらくごとき花三輪



見る色に魅入られ身染めるただ青に









2007-09-03

dance program


































program 1

- 身体感覚の覚醒 -
日常に閉ざされた
からだを解き放つ





program 2

- 擬態戯画 -
表現へとむかうからだを探る
























2007-08-23

実験-experiment of plum


一日目 朝








二日目 昼








三日目 夕






一月眠った梅は

三日三晩

日光浴と月光浴

日に日に赤くなり

三日目の夜

瓶のなかで

深い夢を見る














2007-07-23

performance





パフォーマンスのお知らせ





微のあいだ

- かそけしものたちの響宴 -


8月12日(sun.) 6:00pm






片口直樹の作品とコラボレーションを行います

前回は牛島孝のインスタレーション作品でした







要予約




INFORM gallery

http://www.informgallery.jp/
詳細はギャラリーにお問い合わせ下さい







2007-07-14

空蝉-experiment of cicada






空蝉のないはずの目が光ってた






未明 その透明な羽が はじめて空にふれたのだろう


湿った羽を広げると かすかに震え色づいたのだろう


空に茜色がさす頃 初めての飛翔を試みたのだろう





夏が来る

すぐそこに



地中をゆさぶる蝉の一歩から



2007-07-03

実験-experiment






種をまいた

毎朝水やりをした

次々と芽がでた



光にむかう芽と闇をまさぐる根




芽を見て 根を想う



夏には花が咲くだろう









2007-06-18

performance



パフォーマンスのお知らせ



6月30日(sat.)






美術展 「Art Court Frontier 2007 #5」 において

稲葉高志の作品とのコラボレーションを行います




要予約





Art Court gallery

http://www.artcourtgallery.com/index.html
詳細はギャラリーにお問い合わせ下さい



2007-05-10

kasanari-3態


枝のkasanari




緑のkasanari




思いのkasanari


思いがkasanaruと

想い
憶い
重い

重力は磁場をうむ

次の瞬間
解き放つため



2007-05-03

sanpo-3歩3態

1歩
頭上の風
揺れる竹の陰

2歩 
足下のスミレ
ふるえる花びら


3歩 
猫の爪研ぎ
猫の左目は赤かった


sanpo

散歩の途中出会った光景
猫の爪研ぎ

猫の左目は赤く崩れていた
野良猫か

手前の猫の額ほどの小さな緑地帯には
立て看板

犬猫の進入禁止

しかし猫は越境性の動物だ

行きたいときに
行きたいところへ
行きたいように

行く

そして猫は文字が読めない

2007-04-24

me-3態


芽を見る目




やさしく誘う芽




赤 赤 赤
炸裂






2007-04-15

sakura-3態




一晩中風が吹き荒れた翌日

花をちらせた桜










松の木の虚に

種子を寄生させた桜









朽ちた木のなかに

のびる若木・・・さくら








2007-04-09

sakura

いまはなきモウゾウザクラ



以前住んでいた家は、小人の家のように小造りながら小さな中庭に面した縁側にはガタピシの木枠のガラス戸がはいり、手前は雪見障子だった。

冬、こたつで読書に疲れると、見るともなしに庭に目をやる。北陸のたっぷり水気を含んだ雪は木の枝を重く垂らし、南天の実をついばみにきた小鳥がせわしげに枝を揺らす。


さーと光が差したかとおもうと、目が痛くなるほどに白い庭は一斉に輝きだし、次の瞬間には雲天から雪、果てしなく降る雪。


その光景は、私のなかで起こっていること。庭は私の心だった。如何ともしがたい大きな力の流れ、光が一瞬にして見えるものを変える。


私は目だった。ただ見ているだけ、こころが映すその光景を。それは照ろうが翳ろうが、ただ、美しかった。


今年は雪のない冬の後に春がきた。いまは桜。季節を忘れたような冬の後の花は・・・うつくしいだろうか・・・。




・・・美は感じるものの必然性のなかにある




2007-02-27

分身


分かれるまえは
分かれるときに
分かれたあとも

闇から生まれて闇へと消える




だった




ひかり






ひ・か・り



だった





2006-12-28

冬の眠り



そろそろ冬眠の準備をしなきゃ
最近の熊は遅いみたいよ
美味しいものの味を知って
もっともっと欲しくなるの

その昔
冬眠は命がけだった
再生できるかどうかは
どう眠るかにかかっていた

今は誰も眠らない
ずっと光が瞬いてるなか
ずっと起きて動いてる
闇に身を浸すことを
忘れてしまったのよ

それに熊は人間を怖れなくなった
境界がなくなったのよ
おかしなことね
崩すべきでないものは崩れ
あるはずもないところに
突如あらわれる壁

ほんの少し
・・・眠りたい・・・
僅かばかりの栄養をとって
ジクジクした傷を舐めながら
春にはきっと新しい皮が生えるのを
・・・待つの・・・

きっと真っさらな皮に覆われて
再生することを
信じて
・・・眠るの・・・



2006-10-31

10月の声



静寂のなか
声をきく
語ることをやめた
声に耳を澄ます
カラッポの器に
なみなみと美酒が注がれるように
声に満たされ
声のなかでたゆたう

声・・・
それは沈黙